銭湯について
「銭湯には、現代日本がなくしてしまった心がある。なぜなら湯に浸かっているだけで、固まった心や気持ちが、ゆるりと解け始め、誰もが笑顔になる。そしてそこから交流が広まり、ふれあいが生まれる。たとえ、その瞬間だけしかかかわらない人同士でも、一気に心が通じ合うではないか・・・・。」
町田忍氏著「銭湯の謎」より
銭湯とは
銭湯は古くから、清潔を保ち疲れを癒すなど地域の人々の健康を守る役割を果たしているだけでなく、憩いと交流の場として庶民に広く愛されてきました。
特に高齢者の社交場として活躍している現代の銭湯は、「行くだけで元気になれる」「いつもの顔に会える」など、おじいちゃん、おばあちゃんたちにとっては大事な場所。
わたしたち若い世代にとっても、年配者とふれあえる貴重な場として、「思いやり」や「ゆずりあい」の精神を学べる格好の空間です。そして、町の元気な証を身をもって感じとることができる場所です。
銭湯の効果
広々とした清潔な湯船つかることで、血行促進やマイナスイオン効果により、ストレス軽減や健康美の効果が期待できることが科学的に証明されています。時間の余裕がある週末ぐらいは、ゆっくり湯船につかる習慣をもつことも、慌ただしい日常の中での癒しになるのではないでしょうか。
また、公衆浴場の利用は、地球環境のために嬉しいエコ活動につながります。普段は便利な内風呂で充分だとおっしゃる方も、週に1回お風呂屋さんに出掛けて、水ガス電気などの資源をみんなで共有しませんか。
浴育について
親子で一緒に入る習慣は日本独特のものです。小さい頃、お風呂で家族と過ごした楽しい思い出が誰にでもあるものではないでしょうか。普段は家事や仕事で忙しく子供とゆっくり接する余裕がない大人も、1日の終わりに子供と入浴しリラックスすることで会話が増え、子供の些細な変化に気づくことができます。
特に自宅での入浴とは違い、銭湯では、世代や習慣の違う他人とふれあうことで、人付き合いを学ぶことができます。
人の集まる場所に行って、世間話をしたり、人に迷惑をかけないよう自分の体を洗ったり入浴をする。
親が子供に、兄弟が下の兄弟に立ち居ふるまいを教える、マナーを学ぶ場所です。
たとえば、お風呂のお湯を桶でザバーッとかけるとほかの人にかかります。だからほかの人に迷惑がかからないようにする、会話もあまりうるさくしたり子供同士で騒いで迷惑をかけないようにする、込んでいるときは人に譲ったり譲られたりして挨拶はきちんとするなど。人付き合いで大切な心がけを学ぶ機会がたくさんあります。
■杉戸浴場で上演しています!
銭湯マナー紙芝居「はじめてのお風呂屋さん」
※別ウィンドウが開きます
銭湯の現状
しかし一宮市内の公衆浴場は、利用者の減少や燃料費の高騰などにより、年々厳しい経営環境にあるのが現状です。
他にも、後継者問題、設備の老朽化、そして経営者自身の高齢化。
仕方のないことばかりですが、「いつもの風呂屋」が無くなってしまうことで、大切な居場所はおろか、思い出までも失われていきます。
銭湯の可能性
ここ数年はウォーキングブームやランニング人口の増加などで、ステーションとしての利用も見られるようになってきました。また、一宮市は平坦な地形であることや木曽川沿岸の整備が進んできたことから、サイクリングにも適した場所であるといわれています。
ひと汗かいたあとにお風呂でさっぱりして帰る、ということにもっと利用していただければ、と考えています。
また、旅行分野では地域観光がブームになっています。わざわざ観光地のように整備された場所に行くのではなく、地元のそのままの雰囲気や生活におじゃまさせてもらうというスタイルの観光です。
銭湯はまさに地域を知るのにぴったりの場所!地元の方言だって思う存分に耳にすることができます。
尾張のおじちゃんおばちゃんってどんなかな?と思ったら、ぜひ一宮市のお風呂屋を使ってみて欲しいです。